Column内視鏡AI【New】内視鏡AIに早期から関わっておられるお二人の、ココだけの話2025/12/11

2025年10月14日に実施したAIM社主催ウェビナーにて、内視鏡AIを早期から導入されておられる渡邊先生と柴田先生にご講演いただきました。
内視鏡AI導入の背景から最新モデルであるgastroAI model-G2(以下、gastroAI)の評価について講演された後のQ&Aセッションで、視聴者からの質問に回答された際のお二人のやり取りを、可能な限りそれぞれのお言葉のままお届けします。
| 検出をサポートしてくれるAIの反応には意味がある |
| 【参加者からの質問】 以前に前の世代のAIM社の内視鏡AIを臨床試用した際、AIによる反応が多い印象でした。AIが反応する代表的な病変として何かありますか?またそれに対してはどのように捉えればよいでしょうか? |
| 渡邊先生: | 以前のモデルでは、バブルだったりハレーションでも反応してたような気がするんですが、現行モデルでは全くそういうのがないですよね。一方で反応が多いと感じているのはポリープと粘膜下腫瘍だと思っています。「ポリープに反応する必要があるのか?」と最初は思っていたんですけど、やっぱり検出してもらえることが結構大事です。 例えば毎年内視鏡検査を受けている患者さんは、前回の初見を覚えているんです。「前回はポリープが〇個あるって言われたんだけど、今回はどうして1個減ったんだ?」とか言われると、自分が見逃している可能性もあると思ってしまいますが、AI があれば反応してくれ、同時に3つまでは反応します。 最近では海外でも日本でもSMTの小さい病変に対してでESDし始めてますよね。SMTも大事な病変として自分たちは見ておく価値はあるのかなと。それを考えると、癌にだけ特化しないで、自分たちが考察すべき様々な病変を同定してもらえるという点でも内視鏡AIのメリットは大きいんじゃないかなと思います。 最終的に診断するのは医師なので、その良きパートナーとしてはとってもありがたいです。 柴田先生はどうですか? |
| 柴田先生: | AIが反応する場合の意味を考えると結構面白いと思うんですよね。特にアノテーション作業を最初の頃手伝ったりもしていたので、「これを覚えさせるとこんな感じの反応出るよね」と、AIの反応にはやっぱり意味があるとは思います。 まあ、反応した時にうっとおしいと思う先生方は多いだろうとは思うんですけども、多分似たような画像を胃癌としてアノテーションしているはずなので、あんまり安易にスルーすると、せっかくAIがいい反応をしたのに痛い目に合うケースが当然出てくると思います。 そこは是非、慎重に、AIが反応したところはやっぱり見極めるっていう姿勢を持って見ていただけるといいんじゃないかなと思っています。 |
| 渡邊先生: | シグネットの小さい褪色調の少し陥凹しているようにも見える症例や、前庭部のタコイボびらん様に見えるんだけど、AIが反応すると「確かにちょっとおかしいな」っとなり生検すると癌があったりっていうのはよく経験するので。 ある程度疲れている時とか、タコイボびらんとして流したくなっちゃうものに、AIがなぜかここだけ反応してきて、生検すると「良かったな」っていうのは経験してるので、良き相棒には絶対いいと思いますけどね。 |
| 柴田先生: | 私も同意見です。 プレスタディのヒアリングをした時にダコイボびらんで反応するのがどうかと思うと言ったんですけど、その中に 1 個ぐらい癌が混じってるケースがあったりするので、「この先生決めつけて痛い目に合ってないかな?大丈夫かな?」とか思ったりすることもあります。なのでAIが反応することにも意味があるのかなと思っております。 |
| 患者さんの関心の高さと、できたらイイかも「こんなこと」 |
| 【参加者からの質問】 AI を早くに導入されているということで患者さんからのフィードバックがあれば教えてください。 患者さんの内視鏡AIへの反応はどのようなものが多いでしょうか? 好評なのか?それとも医師が診断していないことに不安を感じるものなのでしょうか? |
| 渡邊先生: | 結構患者さんたちのAIに対する関心が高い気がします。 ただ一方でちょっと最近困ってるのがあって、患者さんに今回の AI ではどんな反応してたんですかって聞かれるんですね。生検をした病変に対してAIはどんな反応をしていたんだ?と。ただその時の動画を患者さんに見せられないっていうのがあって、「こういう感じで反応してるんですよ」っていう動画を見せてあげたいなと思います。 患者さんは結構興味を持ってくれてるのが現状なのと、面白いなと思ったのは、他の病院の検診で胃カメラを受けたと、その時にその先生が全部プリントアウトしてくれたみたいで「これ 1 回見てくれないか」と。他の病院でもらった写真が手元にあるんだけど、これ本当に問題ないのかと。それで、できたら持ってるその AI でその写真を見てくれないかって言われたことがはあります。 |
| 柴田先生: | なるほど。 |
| 渡邊先生: | なので、そういう意味でも結構面白いのかなと思ったり。 企業健診も含めて考えると結構毎年受けてる患者さんが絶対多いと思うんですよね。健診になればなるほど。そうすると前の記憶を覚えてて差を絶対言ってくるので。 |
| 柴田先生: | うんうん。 |
| 渡邊先生: | それで変な話、それこそ柴田先生にも聞いてみたいのですが、そういう患者さんが自分で手に入れた企業健診とか他の病院でもらった写真を AIMさんの「内視鏡AI.com」にアップロードすると判断してくれるみたいになると、それはそれで面白いのかなと思ったり。 ただ医療機器としての承認の関連でいろいろ気をつけないといけない部分があるんだろうなと思いながら、結構そういう感じの評価だったり期待だったり、コメントを最近はいただきますね。 |
| 柴田先生: | 患者さんが直接やるのはどうかと思うんですけど。我々ドクターが何か特別なライセンスを持っている、なんかこう、 AI との特別な契約を結んだ上で使って、医師のフィルターが入った中でフィードバックするとかであれば、セカンドオピニオン的な使い方として、良いのかなっていう感じはあるかもしれないですね。 ただ、患者さん直接だと、全然関係ないとこで反応した場合に「ここで反応しましたけど」って持ってこられて、我々が「それは大丈夫なんですよ」と説明するみたいな、ちょっと妙な押し問答になるような気がします。 |
| 渡邊先生: | そうですね。 |
| 柴田先生: | でもそういうのが、本当にいいですよね。 |
| 渡邊先生: | 今のトレンドなのもあるんだと思うんですけど、想像以上に患者さんはAIに関して結構いろんな質問をしてきますね。 |
| 柴田先生: | あの、実はうちは患者さんからAIの画面が見れない配置になっているんですよね。 患者さんはモニターで通常の検査画像は見れるんですが、AIの解析結果が見れない配置になってるので、あんまりフィードバックを求められたりとかはなくて。 ただやっぱり目に入ると気になるでしょうし、次回以降に繋がっていくという意味で、渡邊先生がおっしゃったように画像が保存できて「AIでは今回こんな感じでしたよ」とかできると、次回患者さんと「AI どうでした?」という会話になって、よいフィードバックができるのかなと思いました。 |
| AIに対するリアクションは医師によって大きく異なる |
| 【参加者からの質問】 前向き研究では癌症例が 1例でしたが、その他の非腫瘍性病変を検出することについて 、柴田先生の許容範囲はどうでしょうか? 偽陽性は少ないに越したことはないですが、ある程度がん疑いに反応して欲しいと思っています。 |
| 柴田先生: | 私は将来的には、もしかしたらAIが検出する感度または特異度を自分で調節できるような医療機器が出てくるんじゃないかなと類推してるんですけども… 現行のAIの反応に対しては、先生によってもう全く異なるリアクションをしてこられます。 私はどちらかというとこのご質問いただいた先生に割と近い方で、反応してくれれば見るきっかけにもなるなりますし、反応されないよりはある程度幅広く反応してくれた方が嬉しい派なんですけども、先生方の意見を集約していると、むしろ逆の先生が非常に多くて。 なんだか反応しすぎてることに対するネガティブな評価で、「こいつ何でも反応するんでしょうかね?」みたいな感じの方が多いです。そこが多分AIM社の方と実際にその使う先生との乖離があるんじゃないかと。 確かに以前のモデルと比べると、現行のG2は反応しなくなっていて私自身は「ううん」なところはあるんですけども。ただ今のは割とはバランスが取れてると思います。 |
| 渡邊先生: | 私もそう思います。 |
| 柴田先生: | 前ほどあの反応しなくなったっていうだけで反応すべきものにはしっかりと反応してるイメージはあるので。AIの反応についてどこを目指すかどうかというのは、悩ましい問題だと思うんです。 現行モデルはバランスが取れてると思いますので、そこに関してはむしろ、以前と比較して反応しなくなったことをポジティブに捉えてていいんじゃないかなと思っております。 |






