- メディアトップページ/
- 内視鏡 AI 論文一覧/
- AI論文(胃)/
- CNNによる胃がん深 ……
はじめに
胃癌の深達度診断は治療選択のため重要です。これまで超音波内視鏡の有用性などが報告されていますが、より正確な診断手法が求められています。本研究ではConvolutional Neural Network(以下、CNN)を用いて胃内視鏡画像から胃癌の深達度を診断するシステムを構築し、感度、特異度、精度について検証しました。
関連記事:胃がんの深達度診断、内視鏡AIで医師を超える精度も。東大の永尾先生が発表
研究方法
● 外科手術または内視鏡的切除術を施行され病理学的にadenocarcinomaと診断された病変の術前内視鏡画像と病理所見を用いて、胃内視鏡画像から癌の深達度を診断するCNNを構築・検証しました。
● 教師データにより学習したCNNが検証データで癌の深達度(M-SM1/SM2以深)を診断し、感度、特異度、精度、陽性反応的中率、陰性反応的中率を評価しました。CNNはWLI、NBI、インジゴ画像それぞれで独立に構築され、各画像につき深達度診断の確かさ(SM2以深である確率)を表す0からの1までの予測スコア(Probability score; PS)を出力するように設計されました。
条件
1,084症例から得られた計16,557枚の画像を4:1の割合で教師データと検証データにランダムに振り分けました(教師データは4:1の割合で、トレーニングセットとバリデーションセットにランダムに振り分け)。胃底腺型胃癌、過去に治療された既往のある病変、観察不良、1画像に複数の病変があるものは除外しました。
教師データ
WLI:884病変から得られた8,271画像(M-SM1 4,864枚、SM2以深 3407枚)
NBI:629病変から得られた2,701画像(M-SM1 2,357枚、SM2以深 344枚)
インジゴ画像:416病変から得られた2,656画像(M-SM1 1,608枚、SM2以深 1,048枚)
検証データ
WLI:236病変から得られた1,715画像(M-SM1 935枚、SM2以深 780枚)
NBI:158病変から得られた575画像(M-SM1 444枚、SM2以深 131枚)
インジゴ画像:111病変から得られた639画像(M-SM1 381枚、SM2以深 258枚)
結果
診断のPSと感度・特異度の関係をROC曲線にプロットすると、ROC曲線下部の面積(ROC-AUC)及び最適なカットオフ値はそれぞれ以下の通りとなりました。
WLI:ROC-AUC 0.9590、カットオフ値 0.5448
NBI:ROC-AUC 0.9048、カットオフ値 0.4031
インジゴ画像:ROC-AUC 0.9491、カットオフ値 0.6094
感度、特異度、精度、陽性反応的中率、陰性反応的中率は以下のようになりました。
画像ごとの診断(Image-based diagnosis)
病変ごとの診断(Lesion-based diagnosis)
病変ベースの精度については、検証画像の半分以上が正しく診断されたものを正解と定義しました。
統計学的には、Lesion-based diagnosisでの精度において、WLI、NBI、インジゴ画像の間に有意差はありませんでした。
結語
異なるアングルや距離からなる複数の画像データを学習した胃癌深達度を予測する新しいCNNは、高い精度で胃癌の深達度を診断することができました。WLI、NBI、インジゴを用いたCNNの病変ベースの精度には有意差はなかったため、より高い精度を実現できるかどうかは今後の課題といえます。