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Performance of a computer-aided diagnosis system in diagnosing early gastric cancer using magnifying endoscopy videos with narrow-band imaging (with videos)(Gastrointestinal Endoscopy・2020年)
がん研有明病院・堀内裕介先生
本論文はがん研有明病院・堀内裕介先生が『Gastrointestinal Endoscopy』誌(2020年)に発表した「NBI拡大内視鏡映像を用いた早期胃がん診断」に関する論文です。
サマリー
はじめに
早期胃がんの診断において狭帯域画像拡大内視鏡(ME-NBI)は非常に有効ですが、その画像診断には一定の経験・技術が必要でした。本研究ではME-NBIで早期胃がんを検出するコンピュータ支援診断(CAD)システムを構築し、その診断能を内視鏡専門医と比較し検証しました。
研究方法
がん画像と非がん画像を用いて機械学習させたCADシステムを作成し、内視鏡動画(がん動画、非がん動画)を診断。AUC、感度、特異度、陽性反応的中率、陰性反応的中率を評価しました。
また各項目について、がん研有明病院で1年以上臨床経験があり、ME-NBIによる診断に長けた内視鏡医11名と比較しました。
結果
CADシステムの診断能:AUC 0.8684、精度 85.1%、感度 87.4%、特異度 82.8%、陽性反応的中率 83.5%、陰性反応的中率 86.7%。
内視鏡医11名との比較では、うち2名よりも診断能が高く、1名よりは劣り、その他8名とは診断能に有意な差はありませんでした。
結語
ME-NBIの動画を用いたCADシステムの診断能は概ね良好でした。臨床においてもCADシステムは診断に有用であると期待されます。
以下は本論文の詳細です。
研究方法
教師画像により学習したAIが検証用内視鏡動画での有無を診断し、AUC、感度、特異
度、陽性反応的中率、陰性反応的中率を評価しました。
また、CADシステムの診断精度を内視鏡医の診断能と比較しました。
教師データ
395例(がん画像1,492枚、非がん画像1,078枚)。がん画像として採用した病変はがん研有明病院でESDにより治療を受けた症例を対象としました。
除外基準:粘液や血液が広範囲に付着している、焦点のずれ、ハレーションがある画像や動画、非がん画像・動画で早期胃がんが一部含まれているもの
検証データ
174本の内視鏡動画(がん:82例87病変、非がん87例)。採用基準はフル拡大したME-NBI、癌病変が画面の60%以上を占める動画、ME-NBIで10秒以上評価している動画を対象としました。
除外基準:粘液付着・血液付着、フォーカス不足、ハレーションのある動画。
動画のフレーム毎に予測スコアを算出し、一定のインターバル以内に陽性の確率スコア(癌病変と推測)が連続するフレーム数を元にがん病変か非がん病変かを判定しました。
結果
● CADは精度85.1%、AUC 0.8684で検出しました。
CADシステムの診断能
● 非根治病変と根治病変にわけて診断能を比較しましたが、有意差は認められませんでした。
内視鏡医11名との比較
● 精度:CADシステムが内視鏡医2名よりも精度が高く、1名よりは劣り、その他8名とは有意差が認められました。
● 感度:CADシステムが内視鏡医3名より有意に高い数値でした。
● 特異度:CADシステムが内視鏡医2名より有意に高かったが、3名よりは低い数値でした。
結語
ME-NBI動画を用いて早期胃がんを診断するCADシステムの総合的な性能は良好であり、内視鏡医と同等かそれ以上の診断能を有していました。そのため、このCADシステムは臨床現場における早期胃がんの診断に有用であると考えられます。