PublicationsAI論文(大腸・小腸)小腸カプセル内視鏡AIに関する論文まとめ2022/08/31

小腸カプセル内視鏡AI論文まとめ

当社は内視鏡AI共同研究を実施いただいているご施設の先生方と共に、現在約40本の論文を発表しております。本記事では、「小腸カプセル内視鏡」に関連する論文6本を紹介します。

更新日:2021年11月
※出版年順に掲載
※各医師の所属は論文発表当時のものです。

1.CNNを活用したカプセル内視鏡画像のびらん・潰瘍の自動検出

タイトル Automatic detection of erosions and ulcerations in wireless capsule endoscopy images based on a deep convolutional neural network
著者 東京大学医学部附属病院 青木智則 先生
ジャーナル Gastrointestinal Endoscopy
掲載年 2019年
研究内容 びらん・潰瘍のあるカプセル内視鏡画像を学習させたCNNを構築し、検証画像に対する検出性能(AUROC、感度、特異度、精度)を評価した。
CNNデータ

教師データ:

びらん・潰瘍の画像115症例5,360枚

検証データ:

65症例10,440枚(正常粘膜 10,000枚、びらん・潰瘍 440枚)

結果

解析速度:233秒(1秒あたり平均44.8枚)

AUROC:0.958

感度:88.2%

特異度:90.9%

精度:90.8%



2.CNNを活用したカプセル内視鏡画像における小腸血管拡張症の自動検出

タイトル Artificial intelligence using a convolutional neural network for automatic detection of small-bowel angioectasia in capsule endoscopy images
著者 広島大学病院 壷井章克 先生
ジャーナル Digestive Endoscopy
掲載年 2019年
研究内容 小腸血管拡張症のカプセル内視鏡画像を学習したCNNを構築し、検証画像に対する検出性能(AUC、感度、特異度、陽性反応的中率、陰性反応的中率)を評価した。
CNNデータ

教師データ:

小腸血管拡張症の画像141症例2,237枚

検証データ:

48症例10,488枚(小腸血管拡張症488枚、正常粘膜10,000枚)

結果

解析時間:323秒(1秒あたり32.5枚)

AUC:0.998

感度:98.8%

特異度:98.4%

陽性反応的中率:75.4%

陰性反応的中率:99.9%



3.CNNを活用したカプセル内視鏡画像における血液内容物の自動検出

タイトル Automatic detection of blood content in capsule endoscopy images based on a deep convolutional neural network
著者 東京大学医学部附属病院 青木智則 先生
ジャーナル Gastroenterology and Hepatology
掲載年 2019年
研究内容 血液内容物所見及び正常粘膜所見を含むカプセル内視鏡画像を学習したCNNを構築し、検証画像に対するCNNとSBI(Suspected Blood Indicator)による血液内容物の検出性能を比較・評価した。
CNNデータ

教師データ:27,847枚の画像(内訳:血液内容物29症例6,503枚、正常粘膜12症例21,344枚)

検証データ:

10,208枚の画像(内訳:血液内容物5症例208枚、正常粘膜20症例10,000枚)

結果

血液内容物検出のAUC:0.9998

解析速度:250秒(1秒あたり40.8枚)

CNNはSBIよりも感度、特異度、精度がそれぞれ有意に高かった。

  CNN SBI
感度 96.63% 76.92%
特異度 99.96% 99.82%
精度 99.89% 99.35%


4.CNNを活用した小腸カプセル内視鏡読影の一次スクリーニングに対する臨床的な有用性

タイトル Clinical usefulness of a deep learning‐based system as the first screening on small‐bowel capsule endoscopy reading
著者 東京大学医学部附属病院 青木智則 先生
ジャーナル Digestive Endoscopy
掲載年 2020年
研究内容

1.で作成したCNNを用いて、カプセル内視鏡動画20本に対する内視鏡医のみ及びAIを使用した内視鏡医(エキスパート2名、修練医4名)による読影時間とmucosal break(びらんまたは潰瘍)の検出率を検証した。

読影プロセスを2つに分けて検証

プロセスA:内視鏡医のみの読影

プロセスB:AIによる一次スクリーニング後、AIが検出した病変のみを内視鏡医が読影

CNNデータ

教師データ:

1.と同様、5,360枚のカプセル内視鏡画像を学習

検証データ:

内視鏡動画20本(16動画に37病変のびらん・潰瘍、4動画は病変無し)

結果

CNNを上乗せしたプロセスで平均読影時間が有意に短縮した。

  エキスパート 修練医
プロセスA 12.2分 20.7分
プロセスB 3.1分 5.2分


mucosal break の検出率はプロセスBにおいても低下はみられなかった。

  エキスパート 修練医
プロセスA 84% 47%
プロセスB 87% 55%

(両プロセス間で有意差はなかった)

5mm以上の大きな病変について

・エキスパートは全て検出可能だった

・修練医はCNNの補助があっても検出できない病変があった



5.CNNによるカプセル内視鏡隆起性病変の検出

タイトル Automatic detection and classification of protruding lesions in wireless capsule endoscopy images based on a deep convolutional neural network
著者 仙台厚生病院 齋藤宏章 先生
ジャーナル Gastrointestinal Endoscopy
掲載年 2020年
研究内容

隆起性病変のカプセル内視鏡画像を学習させたCNNを構築し、隆起性病変の有無を診断し、感度、特異度を評価した。

さらに検出した隆起性病変をポリープ、小結節、上皮性腫瘤、粘膜下腫瘍、静脈構造の5つに分類し、CNNの病変の検出率を評価した。

CNNデータ

教師データ:

292症例30,584枚の隆起性病変の画像

検証データ:

93例17,507枚(内訳:病変あり73例7,507枚、病変なし10,000枚)

結果

解析時間:1枚あたり平均0.0303秒

感度90.7%

特異度79.8%

73症例の患者ごとの病変検出率:98.6%

● 分類別の感度:ポリープ 86.5%、小結節 92.0%、上皮性腫瘤 95.8%、SMT 77.0%、静脈構造 94.4%

● 73症例の患者ごとの解析

病変検出率:98.6%。



6.カプセル内視鏡検査におけるディープラーニングシステムを用いた自動病変検出:多施設研究

タイトル Automatic detection of various abnormalities in capsule endoscopy videos by a deep learning-based system: a multicenter study
著者 東京大学医学部附属病院 青木智則 先生
ジャーナル Gastrointestinal Endoscopy
掲載年 2020年
研究内容 カプセル内視鏡画像を学習させたCNNを用いて、3施設から収集したカプセル内視鏡動画の様々な病変に対するCNNの検出能力をQuickViewモードと比較した。
CNNデータ

教師データ:

66,028枚のカプセル内視鏡画像

対象画像 枚数
粘膜傷害 5,360
結節 11,097
血管拡張症 2,237
ポリープ 10,704
上皮性腫瘍 6,515
粘膜下腫瘍 1,875
静脈構造 393
血液 6,503
正常画像 21,344

検証データ

379本のカプセル内視鏡動画

結果

解析速度:1枚あたり0.09秒

CNNが5,050,226枚の画像から1,135,104枚(22.5%)を病変として検出したため、QuickViewモードのサンプリング率は23%とした。

各検出率

  CNNモード

QuickView

モード

P値
合計(n=227) 99 89 P < .001
粘膜傷害(n=94) 100% 92% P=.005
血管拡張症(n=29) 97% 97%  
隆起性病変(n=81) 99% 80% P < .001
血液内容物(n=23) 100% 96%