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Artificial intelligence using a convolutional neural network for automatic detection of small-bowel angioectasia in capsule endoscopy images / 広島大学病院・壷井章克先生
AIを活用したカプセル内視鏡画像における小腸血管拡張症の自動検出
本論文は広島大学病院・壷井章克先生が『Digestive Endoscopy』誌(2019年)に発表した「AIを活用したカプセル内視鏡画像における小腸血管拡張症の自動検出」に関する論文です。
はじめに
小腸血管拡張症は、カプセル内視鏡検査で不明瞭な消化管出血を伴う患者には頻繁に診断される疾患ですが、コンピューター支援による検出は確立されていませんでした。本研究ではSingle Shot MultiBox Detector(SSD)アーキテクチャに基づいたConvolutional Neural Network(以下、CNN)を開発し、学習と検証を実行しました。なお、CNNアーキテクチャはCaffeフレームワーク で実現しました。
上記を活用して、カプセル内視鏡画像における血管拡張症の検出性能について検証しました。
サマリー
研究方法
141名の小腸血管拡張症患者から得られた2,237枚のカプセル内視鏡画像を学習したCNNを構築し、48名の患者から得られた10,488枚の検証画像に対する検出性能(AUC、感度、特異度、陽性反応的中率、陰性反応的中率)を評価しました。
結果
● AUCは0.998でした。
● CNNの感度は98.8%、特異度98.4%、陽性的中率75.4%、陰性的中率は99.9%でした。
● CNNは検証画像10,488枚を323秒(32.5画像/秒)で判定しました。
結語
カプセル内視鏡画像から血管拡張を検出する新しいCNNを用いたシステムを開発しました。これは医師の負担と見逃しを減らすために日常臨床にも適用できる可能性があります。
研究方法
141名の小腸血管拡張症患者から得られた2,237枚のカプセル内視鏡画像を学習したCNNを構築し、48名の患者から得られた10,488枚の検証画像に対する検出性能(AUC、感度、特異度、陽性反応的中率、陰性反応的中率)を評価しました。
条件
教師データ(141症例2,237枚)
● 2、3名の経験豊富な医師によりカプセル内視鏡の記録をレビューしました。
● デバイスはPillcam SB2またはSB3を使用しました。
● 血管拡張症の範囲は内視鏡専門医が長方形のバウンディングボックスを用いてアノテーションを実施しました。
検証データ
● 小腸血管拡張症:488枚
● 正常粘膜:10,000枚
解析方法
<CNNボックスの確率スコア>
● 血管拡張症のカットオフより大きい:真の陽性
● 実際の血管拡張症に対してカットオフ値よりも大きな確率スコアを持つCNNボックスがない:偽陰性
● 血管拡張症のない画像上でカットオフ値よりも大きな確率スコアを持つCNNボックスがない:真の陰性
● 正常部位でCNNボックスの確率スコアがカットオフ値より大きい:偽陽性
● IoU(CNNボックスと真のボックスの重なった面積を和集合で割ったもの)が50%以上:正解
結果
CNNの性能
● 血管拡張症の検出に使用したCNNのAUC:0.998
● 確率スコアのカットオフ値:0.36
● CNNの感度は98.8%、特異度98.4%、陽性反応的中率75.4%、陰性反応的中率は99.9%でした。
● CNNは検証画像10,488枚を323秒(32.5画像/秒)で判定しました。
● CNNは10,488枚中646例を検出しました。
- ○ 真の陽性(487例)
- ○ 真の陰性(9,910例)
- ○ 偽陽性(159例):全症例で1b型からの出血によるもので、CNNは正常な粘膜を血管拡張症による血液の赤みとして誤認識しました。
- ○ 偽陰性(6例):CNNは部分的に写っているものや、焦点が合っていないものを誤認識しました。
CNNによる血管拡張症タイプ別の評価
矢野・山本分類を用いて評価
検出率は1b型が1a型より有意に高い結果が出ました(P<0.001)。
1b型の正診率は1a型の検出率よりも高い結果が出ました(P=0.009)。
● CNNの感度
- ○ 1a型:83.3% (15/18)
- ○ 1b型:99.4% (472/475)
● CNNの正診率
- ○ 1a型:83.3%(15/18)
- ○ 1b型:97.9%(465/475)
結語
カプセル内視鏡画像から血管拡張を検出する新しいCNNを用いたシステムを開発しました。これは医師の負担と見逃しを減らすために日常臨床にも適用できる可能性があります。