Article医療AIIBS患者向けAIアプリ、患者撮影の便画像を評価2023/01/20
過敏性腸症候群(IBS)患者を対象としたAI(人工知能)ツールの論文情報を紹介した海外セッションの模様をご紹介します。
本記事は、2022年5月にカリフォルニア州サンディエゴで開催された、Digestive Disease Week(DDW)2022のセッションレポート。登壇者は、シダーズ・サイナイ医療センター(米カリフォルニア州)のMark Pimentel教授です。
IBSは、腹痛あるいは腹部不快感が生じ、便秘または下痢を繰り返し引き起こす消化管の病気です。便の性状を評価する方法として、従来はブリストル便性状スケール(BSS)がよく用いられています。
英国ブリストル大学のHeaton博士が1997年に提唱した評価方法で、便を硬くてコロコロした便から水様便まで、その性状によって7段階に分類します。
- ・便秘:BSS1~2
- ・正常:BSS3~5
- ・下痢:BSS6~7
しかしこのBSSは、あくまで患者の主観的な評価になるため、正確性や客観性に欠ける点が問題とされてきました。Pimentel教授はこの原因として、評価に関する患者の理解度や想起バイアス、治療薬の服用によるプラセボ効果などを挙げています。またこの評価方法では、1日の便が複数回ある場合、どのタイミングの便を評価するかで一定しない、という問題もあります。
こうした問題の解決策としてAIによる評価機能を搭載したスマホアプリ「Dieta Health」が開発され、当セッションで紹介されました。このアプリは、患者が撮影した便の写真を元に、AIが便の性状を評価するという機能です。