Article内視鏡医研鑽を積み重ねた内視鏡技術と、丁寧な説明を両輪に…細沼知則先生2023/01/05

研鑽を積み重ねた内視鏡技術と、丁寧な説明を両輪に…細沼知則先生

埼玉県川越市にある川越駅前胃腸・肛門クリニックは、苦痛の少ない胃カメラ・大腸内視鏡検査、日帰り肛門手術、やけどやキズの湿潤療法を得意とするクリニックです。2016年4月に開業。院長の細沼知則先生は、胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査をそれぞれ、年間1,000件以上こなしています。

内視鏡検査を含め消化器外科の分野で研鑽(けんさん)を積み重ねてきた細沼先生に、苦痛の少ない内視鏡検査を行ううえでの工夫などについて、お話を伺いました。

大腸カメラや肛門科で著名な医療機関で腕を磨く

外科医として医師のキャリアを踏み出したものの、当初は大腸カメラの技術の習得に苦戦していたという細沼先生。どうすれば技術を高められるのか試行錯誤を重ねていた若手時代、内視鏡検査で著名な松島クリニック(神奈川県横浜市)の鈴木康元先生の著書を読んだことがきっかけで、当時の勤務先での業務のかたわら、松島クリニックで週に1回研修を受けておりました。この経験が、現在の自分の原点になっているといいます。

「松島クリニックでは大腸カメラの扱いや挿入技術などについて、徹底的にチェックされました。

大腸カメラを扱う上で重要なポイントについても指導を受け、施術中の様子を自分でビデオ撮影して分析し、改善につなげる。これを4〜5年続けたことで、なんとか『人並み』になったと思えるようになりました」。

また、キャリアの中で辻仲病院柏の葉(千葉県柏市)で勤務したことが、細沼先生の肛門外科医としての基礎になりました。肛門外科は、他の臓器の疾病と違って術後の状態を把握しやすいこと、術後の達成感を感じられることもあり、細沼先生の性格に合っていたといいます。1件あたりの手術時間も比較的短いことから、1日に手術を5件こなすこともあり、年間の手術件数は300件に上りました。

また細沼先生の関心は、病理にも及びました。

「内視鏡をやっていると、検査で採取した組織が気になります。病理についても、論文を読んである程度わかるようになりたいと思いました」。

自治医科大学感染症科や国立がん研究センター中央病院病理科等でも研修の機会を得て、病理に関する知識も同時に深めていきました。

十分なコミュニケーションで検査の不安や苦痛を軽減、「自分の言葉」で

細沼先生は内視鏡検査の実績を十分に積み重ねた後、2016年4月に埼玉県川越市で開業します。心がけていることは、「痛がらせない、苦しませないことを第一に考えながら、何かあったときは最短で」。

病理の知見があるため、何かおかしいと感じたときは、生検の結果が出る前に大学病院などに紹介するようにしています。

川越駅前胃腸・肛門クリニックのウェブサイトを見ていると、情報の豊富さが印象的です。内視鏡検査の苦痛を軽減するためにクリニック側で取っている具体的な方法や、どのようなときに内視鏡検査を受けるべきかといった情報も書かれています。

「最初は業者さんに更新をお願いしていたのですが、内容を追加したり訂正したりするのに時間がかかるだけでなく、『もっとこういう情報も追加したい』と思うようになり、自分でやるようになりました」。

ウェブサイトの情報は、検査を受ける患者さんに説明する際にも活用しています。例えば、サイトに掲載している図を見せながら、「胃カメラだとここで苦しくなります」などと説明し、患者さんの不安の軽減に努めているそうです。

「かつて勤めていたクリニックで徹底的に指導を受け、自分でも何度も分析や研究を重ねたので、きちんと自分の言葉で患者さんに説明できるのだと思います。ご本人が納得して、少しでも安心できることが重要ですので、たとえ診察が混んでいたとしてもしっかり説明することを心がけています」。

ウェブサイトの情報は豊富でありながら、難しい言葉が少なく理解しやすい内容になっています。専門用語をできるだけ使わないように心がけているそうで、患者さんとのコミュニケーションを円滑にする上でも役立っています。

医師の目の「サポート役」としてのAIに期待

川越駅前胃腸・肛門クリニックでは、開業から直近までの検査・治療実績をウェブサイトで公表しています。胃カメラや大腸カメラはそれぞれ、年間1,000件以上こなしています。開業から2021年12月までの実績は以下となります。

  • 胃内視鏡検査:5,760件(うち食道がん7件、胃がん33件)
  • 大腸内視鏡検査:5,816件(大腸がん174件/うち早期がん83件)
  • 大腸ポリープ切除:2,726件

大腸ポリープ発見率については、開業から2021年末までが47%、2022年(~9月)は52%。これは医師の技術を判断する上で「最低ラインとして望ましい」とされる35%を大きく上回る水準です。

経験に裏打ちされた高い技術を持つ細沼先生ですが、新しい技術である内視鏡AIにも期待を寄せます。特に内視鏡検査における胃がんの「拾い上げ」支援を期待しているといいます。

「論文などを読んでいると、本当にこれはがんなのかとか、自分が遭遇したらがんだと気づけるだろうかという、難しいタイプの病変をよく見かけます。こういうときに、AIが拾い上げてくれて『見逃していないか』『生検しなくてよいのか』と教えてくれるような役割を担ってほしいと思います。

医師の目にAIの力を加えることで、人間の目では見つけることが難しいがんを拾い上げられる確率が増えると思います」。

特に胃がんの場合は、ピロリ菌などによる炎症が胃がんの発見を妨げる場合があるため、細沼先生は「感度が高いAIがあると助かります」と話します。クリニックでは胃カメラの予約が埋まりがちなため、限られた時間内でできるだけ多くの患者さんを検査する必要に迫られます。そんな中においても、かすかな病変を見落とさない「拾い上げ」に期待を寄せているそうです。

初心を忘れず、さらに丁寧に

過去に胃カメラで苦しい思いをしたことがある人は、少なくありません。「痛がらせない、苦しませないことを重視している」という細沼先生のもとには、過去に胃カメラでつらい思いをしたという患者さんも多く訪れるそうです。

クリニックでは、苦しくない工夫をした内視鏡や鎮静剤を使うなどして、苦痛を軽減するための方策について、ウェブサイトでも詳細に書かれています。

そうした取り組みの効果もあり、胃カメラの予約が早く埋まっていくそうです。新型コロナの流行下では、多くの医療機関が利用者減に苦しみましたが、川越駅前胃腸・肛門クリニックの外来は1割程度の減少にとどまったそうです。一般内科を標ぼうしていないため影響を受けづらい面もありますが、胃腸や肛門科における高い専門性を頼って来院する方が集中しているとのことです。

「検査を受けに来る方の中には、自覚症状があって大きな不安を抱えている方も多くいらっしゃいます。とにかく初心を忘れずに、これからも丁寧にやっていきたいと思っています」。

確かな内視鏡技術と、十分なコミュニケーションをとることで患者さんの不安をやわらげることが、クリニックの両輪となっています。