Article観察・診断アメリカの胃がん対策の現況、多民族国家ならではの課題2023/01/20

今回は、アメリカにおける胃がん対策の現状について紹介します。2022年5月にカリフォルニア州サンディエゴで開催された、Digestive Disease Week(DDW)2022のセッションレポート記事です。
アメリカでは、胃がん対策において、本邦同様に内視鏡スクリーニングやサーベイランスが有効ではないかと考えられていますが、多民族国家ならではの問題が存在します。その一つは、人種ごとに胃がんの罹患率や発生部位などが異なるという点です。白人においては胃がんの罹患リスクは低い一方、移民を含むマイノリティの胃がん罹患リスクが特に高く、地域性を考慮した対策が求められています。
アラバマ大学バーミンガム校のDouglas Morgan教授によるセッションの内容をお伝えします。
スクリーニング実施方法、地域差など考慮して
Morgan先生によると、世界における年間の胃がん罹患数は約120万人に上り、がん死亡者数の第3位とされます。将来的に高齢化が進展するに伴い、全死因のトップ10に入ることが予想されているとのことです。
またMorgan先生は、「特筆すべきは、胃がんの生存率は、国や地域によって大きく異なることです」と続けます。
アメリカでは、非白人による胃がん罹患率が特に高い点に言及し、移民を含む人種や地域ごとの発がんリスクを解析することで、胃がんの発症予防・早期発見につながる知見を得られる可能性がある、と発言しました。