Article内視鏡AI胃がんの深達度診断、内視鏡AIで医師を超える精度も。東大の永尾先生が発表2022/09/07
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胃がんの深達度診断を目的としたConvolutional Neural Network(以下、CNN)の活用。
東京大学医学部附属病院の永尾清香先生(光学医療診療部・特任臨床医)は2020年、このテーマでの論文を内視鏡専門誌“Gastrointestinal Endoscopy”に投稿しています(S Nagao et al. Gastrointest Endosc 2020; 92: 866-873.e1.)。
永尾先生はこの論文内容を中心に、胃がん診断とH.pylori診断における人工知能(AI)の研究報告例について、第94回日本胃癌学会総会(2022年3月2日〜4日開催)でのランチョンセミナーで紹介しました。
同セミナーで座長を務めたがん研究会有明病院(以下、がん研)の藤崎順子先生(消化器内科部長)は、永尾先生の論文について冒頭で以下のように紹介しました。
「この論文を拝見すると、AIによる深達度診断の正診率が非常に高く、本当に医師の診断能を超える可能性があると理解できました。深達度診断はまだ発展が進んでいない分野のため、AIの有用性がありそうです」。
永尾先生は今回のセミナーにて、以下のAI研究について、海外を含む代表的な研究を紹介しました。
- 胃がんのリスクであるヘリコバクター・ピロリ(以下、H.pylori)の感染状況のAIによる鑑別診断
- 胃がんの早期発見のためのAIを用いた病変検出
- 胃がんの適切な治療方針決定のための深達度予測に関するAIの活用
「H.pylori感染は重要な胃がんのリスク因子です。内視鏡検査時にH.pylori現感染および既感染症例を胃がんハイリスク集団と特定できれば、胃がんの早期診断に寄与する可能性があります。早期胃がんの段階で適切な治療を行えば5年生存率は高いため、早期の診断・治療が重要です」。
H.pylori感染を見分けるAIとは?
「H.pylori感染は肉眼で識別しやすい症例ばかりではないため、診断に迷うことがしばしばあります。」