Article観察・診断胃NET・NECの内視鏡所見、大阪国際がんセンターの症例で解説2023/06/27
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特殊型胃癌の一つとして知られる胃神経内分泌腫瘍(NET)と胃神経内分泌細胞癌(NEC)。その概要について、2022年9月開催のセミナー“特殊型胃癌の内視鏡診断”に登壇された大阪国際がんセンター(以下、OICI)の金坂卓先生(消化管内科 副部長)は、次のように紹介します。
- 胃NET:内分泌細胞の前駆細胞から発生した細胞異型度が低い腫瘍
- 胃NEC:分化型腺癌が先行的に発生し、内部に生じた高異型度の腫瘍性内分泌細胞が急速に発育・進展し大勢を占める機序が推定されている。早期より転移を来す予後不良の高悪性度
松枝克典,上堂文也,他. 胃と腸 57(7):900-911,2022
内視鏡所見の特徴は?
「膵・消化管(NEN)診療ガイドライン」では、直腸と食道の所見を参考文献として、次のように記述されています。しかし胃に関する参考文献はないため、「果たして胃にも当てはまるのか?」と金坂先生は疑問を投げかけました。
- 消化管NET:類円形の粘膜下腫瘍様隆起であり,増⼤すれば中⼼陥凹や潰瘍形成を伴う
- 消化管NEC:進⾏癌の形態をとる場合が多い
実際にOICIで診断された胃NETの症例をみると、必ずしも他の消化管NETと類似しているわけではないといいます。
金坂先生は、胃NET及び胃NECの内視鏡所見の特徴、傾向を解説。特に悪性度が高く一般型の癌との鑑別を要する胃NECにおいては、その違いを把握することの重要性についても触れています。
・ウェビナー動画をみる(実症例も交えた解説を視聴できます)
NET・NECの分類と定義
WHO分類では、NET・NECは悪性の上皮性腫瘍(Malignant epithelial tumours)に位置付けられています。この悪性上皮性腫瘍は、MiNEN(Mixed neuroendocrine‒non-neuroendocrine neoplasm)と合わせて、内分泌細胞腫瘍(Neuroendocrine neoplasms)と呼ばれています。