Column観察・診断H. pylori未感染胃に発生した白色扁平隆起を呈した胃腸混合型胃癌の一例【期間限定オンデマンド配信】2025/11/20

H. pylori未感染胃に発生した白色扁平隆起を呈した胃腸混合型胃癌の一例【期間限定オンデマンド配信】

2025年10月29日(水)に開催された、「新たに胃病変を考える会 2025 ~経験で診る。技術と診る。~」において、大薄 直也先生(医学研究所北野病院)が発表された「H. pylori未感染胃に発生した白色扁平隆起を呈した胃腸混合型胃癌の一例」を期間限定でオンデマンド配信しています。

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【抄録】

60歳台女性。常染色体優性多発性嚢胞腎による末期腎不全で血液維持透析中であり、アスピリンとランソプラゾール、炭酸ランタンを長期内服している。スクリーニング目的の上部消化管内視鏡にて胃体上部前壁に50mm大の白色調の扁平隆起性病変を認めた。NBI拡大観察で明瞭なDLを認め粘膜模様は癒合・大型化し、血管は口径不同の走行異常を認めた。背景の胃粘膜に萎縮性変化は認めなかった。組織学的にも粘膜萎縮や腸上皮化生は認めず、血清H.pylori抗体、H.pylori便中抗原、尿素呼気試験はいずれも陰性であった。H.pylori除菌歴もなかった。以上より、H.pylori未感染胃を背景に発生した白色扁平隆起型の腺窩上皮型胃癌と考えた。ESDで一括切除し、病理結果はType 0-Ⅱa, 55×53 mm, tub1, pT1a(M), Ly0, V0, pUL0, pHM0,pVM0 であり、治癒切除であった。免疫染色ではMUC6、CD10、CDX2が部分陽性、MUC2、MUC5AC、Pepsinogen-1、H+K+-ATPaseが陰性であり、想定されていた胃型ではなく胃腸混合型を呈していた。ランタン沈着は認めなかった。内視鏡上は典型的な白色扁平隆起型の腺窩上皮型胃癌が疑われたが、免疫染色上は胃腸混合型を呈していた稀な症例と考えられた。

【発表者・共著者】

大薄 直也1,中神 聡太1,𠮷川 貴章1,勝山 苑香1,廣橋 研志郎1,八隅 秀二郎1,本庄 原2

1.公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院 消化器内科

2.公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院 病理診断科