Column観察・診断早期の自己免疫性胃炎が疑われた3例【期間限定オンデマンド配信】2025/11/20

2025年10月29日(水)に開催された、「新たに胃病変を考える会 2025 ~経験で診る。技術と診る。~」において、田﨑 修平先生(田崎胃腸科内科)が発表された「早期の自己免疫性胃炎が疑われた3例」を期間限定でオンデマンド配信しています。
【抄録】
当院において早期の自己免疫性胃炎(以下AIG)が疑われた3例を経験したので報告する。
3症例は血液検査ではHp IgG抗体 3.0 (10未満) 胃癌リスク検診A群相当でペプシノゲンⅠは低下。空腹時ガストリン値は正常、抗胃壁細胞抗体陰性、抗内因子抗体陰性と診断基準に当てはまらないが、上部消化管内視鏡検査においては幽門前庭部の萎縮はなく、胃体部はRACを認めず、インジゴカルミン色素散布にて、胃粘膜は顆粒状、数の子様に腫大した胃小区と竹の節状所見を示し、早期のAIGが疑われる所見を認めた。病理検査はHE染色で萎縮は認めないが、表層部より固有胃腺の胃底腺領域でリンパ球浸潤が強く、胃体部の胃底腺中層から下層内に浸潤するリンパ球 の一部は胃底腺上皮を傷害して壁細胞の変性や変形をきたしている。免疫染色ではECMは認めないが、神経内分泌細胞(ECL細胞)の増加を認め、前庭部中層領域ではガストリン細胞の増加を認め、早期のAIGの所見と合致した。AIGの診断基準に関する附置研究会の早期の胃底腺領域の組織学的特徴を満たしていた。
AIGの早期例の報告は少なく症例を蓄積する上で臨床的意義があると考え報告する。
【発表者・共著者】
田﨑 修平1,林 一彦2
1.田崎胃腸科内科
2.鳥取大学分子学教室






