Column内視鏡AI、実際どう?導入医の「本音トーク」から探る実態と意外な効果2026/01/21

内視鏡AI、実際どう?導入医の「本音トーク」から探る実態と意外な効果

内視鏡医の診断を支援する「内視鏡AI」。 AIは画像診断を得意としており、がんをはじめとする病変の見逃し防止など、医療分野で幅広い効果が期待されています。消化器内視鏡領域では、上部・下部いずれの内視鏡検査においても複数のメーカーから画像診断支援製品が発売され、臨床現場での活用が着実に広がっています。一方で、AIに興味を持ちながらも、

「実際、どうなの?」

「AI画面を見るとなると、検査時間が延びてしまうのでは?」

「メリット・デメリットを総合的に知りたい」

といった不安や懸念の声が聞かれるのも事実です。 こうした疑問に応えるべく、2025年12月3日に開催されたセミナー 「導入医が語る内視鏡AI本音トーク ― みなさまの疑問・質問に答えます ―」 では、実際に内視鏡AIを導入し日常診療で活用している3名の先生方が登壇。導入の背景、使用感、導入による変化などの実情・実態を“本音トーク”で語り、AI導入に関心をもつ視聴者へ、現場のリアルな声を届けました。

後半のディスカッションパートでは、視聴者からの質問に回答しつつ、 「導入して初めて気づいた意外な効果」 についても共有されました。 本稿では、このディスカッションパートで語られた内容を中心にご紹介します。

お役割者紹介

加古 伸雄 先生(あいち健康クリニック 院長):高度な診断精度を維持しながら検査の均一化と効率化を両立させることを目的に、2025年よりgastroAI model-G2を導入。セミナーでは司会・基調講演をご担当。

舘 佳彦 先生(藤田医科大学 岡崎医療センター 消化器内科 教授):あいち健康クリニックにてgastroAI model-G2を使用。セミナーでは、内視鏡AIの使用経験、内視鏡AIの位置付けと今後の展望についてご講演。

亀井 秀弥 先生(みよしかめいクリニック 院長) :外科医としてのキャリアから開院。セミナーのご講演にて、開院してから直面した課題、それらの解消に向けて2025年に導入したgastroAI model-G2のメリットや注意点等をご紹介。

まずは慣れること。不必要な生検の抑制にも
【参加者からの質問】
AIが反応するため、逆に生検数が増えたり、検査時間が長引いたりすることはありますか?
たしかに導入当初は、AIが検出ありと指摘することで、普段であれば自分で生検しない病変を生検するという経験はありました。しかし、使用経験を積むにつれて、AIの結果を踏まえて生検の要否を判断できるようになり、生検数はいずれ平均化していくものだと感じました。「ポリープに反応する必要があるのか?」と最初は思っていたんですけど、やっぱり検出してもらえることが結構大事です。

導入当初はAIの反応に引っ張られるけど、段々適応して、「これは生検しなくても大丈夫」と施工医の方もわかってくるということですね。
そうですね。若く内視鏡経験の浅い先生であれば引っ張られる傾向がありますが、ある程度経験を積んでいけばそのあたりは判断できると思います。
非専門医の私の立場からしても、AIの指摘によって生検が増えることはないかなと思っています。非専門医ですと病変を見つけた際に不安になって生検を行うということがあると思うのですが、使用経験を重ねると慣れていき、結果として不必要な生検は減っているような印象を持っています。
AIの陰性判定が後押しになりうるということですね。実際、最終的には先生の判断で決められるので、懸念することではないかなということでよろしいかと思います。
AIとの対話、生まれる安心感
【参加者からの質問】
内視鏡AI導入後の「良いギャップ」「悪いギャップ」はありましたか?
良い面としては、経験を積むにつれてAIと対話するような感覚を持てるようになることです。AIの反応に対して、「これも所見としてとるんですね」と思いながら観察することもあれば、生検を迷った症例に対して、2回から3回撮影して反応しないことを確認した上で、「生検しなくて大丈夫だよね」と補助診断の様に活用することもあります。
AIと会話するという感覚なんですね。
はい。特にピロリ菌除菌後の萎縮の強い胃炎は注意深く観察する必要がありますので、一通り観察してAIの反応もなければ、「これはなしで良いですよね」というようにAIに問いかける様に使っており、今ではその使い方にも慣れてきました。悪いギャップは…すみません、今のところ思いつかないです(笑)
舘先生の先ほどの講演の中で、明らかに胃底腺ポリープである病変にも反応するという話もありました。最初は「え!反応するの?」と思うのでしょうけど、それは慣れれば無視できると。
そうですね。良性の病変への反応について、内視鏡経験があれば「AIなんていらないんじゃない」「アラートが煩わしい」と思う先生もある程度の割合でいらっしゃるかと思います。今後のバージョンアップにおいては、閾値の検討が進んでいくのではないかと思いますし、AIがどんどん賢くなれば、経験のある内視鏡医と同等のレベルになってくるのではないでしょうか。
バージョンアップでいえば、ソフトウェアのみバージョンアップするのか、ハードウェアごとするのか、各種あると思うのですが、内視鏡組み込み型のAIだとハードごと買い替えなきゃいけないこともあると思うんですね。それに比べるとソフトの方は今後のコストメリット的な面でも施設状況に合わせて選択できるという部分もあるんでしょうね。
AIの革新が進んでいくのは間違いないでしょうから、バージョンアップの都度機器を買い替えるわけにはいかないので、臨機応変に対応できるようにしてほしいですね。
亀井先生はいかがでしょうか?
良いと感じた面は2点ありまして、1点目は導入前に持っていたイメージよりも、AIが遅延することなくスムーズに動くなと感じた点です。2点目はAIが反応することによって、導入前であれば普段スルーしていた病変を見るようになるので、自身の学習の参考になっていると感じる点です。
なるほど。悪いギャップはありますか?
悪いギャップという程ではないのですが、AIの結果がいつも正しいとは限らず間違った情報を与えることもあるので、「AIに頼り切ってはいけない」「最後は自分で決める」という感覚が疎かにならないよう、そのあたりを念頭において検査しなければいけないと思います。
確かにそうですね。実は私は放射線科医なのですが、胸部のX線やCT検査におけるCADでも良性病変を指摘することはありまして、使用経験を重ねるにつれ、スルーできるようになりました。逆に疲労状態の時にAIに指摘してもらうことによって、何十例から何百例に1回は助けられた経験があります。内視鏡においてもAIは何例検査をしても精度は変わらないので、そういうところを上手く使えればいいのかなと思います。
「当院でも真似してみたい」。導入後ならではの効果とは?
【参加者からの質問】
AI導入後に感じた、意外な効果はありますか?
検査時間が延びるのではないかということを一番懸念していましたが、瞬時に反応するので、時間のロスは感じないという効果がありました。また、AIというと「動画に対して重畳表示で自動的に反応する」イメージを持っていたのですが、動画を見ているときに多くのマーキングが出てくると目の疲労感に繋がるのではないかと思います。現状は静止画での判定の方が適しているかもしれないなと感じました。
動画で動いてくれる方がかっこいい、ハイテクな印象は持つかもしれないですが、現状のAIの精度だと、時期尚早かもしれないと。
はい、検査医の疲労に繋がってくるのではないかなと思います。時代が進めば動画を判定するものが主流になっていくかもしれないですが、どのようになっていくか、見守っていきたいと思います。
亀井先生はいかがでしょうか?
元々AIの導入は医師側のメリットが大きく、患者さんはデメリットはないくらいに思っていたのですが、講演でも触れたように患者さんからも反響があった点は意外な効果でした。
そうですね、否定的な考え方の患者さんもいるかと考え、当院ではAIを併用して検査していることを公開するか悩んでおり、まだしていませんでした。しかし、亀井先生のご講演を聞いて、精度を担保していると好意的に思っている患者さんが多いことが理解できたので、当院でも倣ってみたいと思いました。
あとはクリニックをやっていますと、もちろん全てに集中してやっているつもりですが、外来・内視鏡・外来・手術・内視鏡と繰り返す中で、疲労がある中での検査というのもあります。そういった中でAIが反応することによって、注意力を引き戻してくれるといいますか、集中力の維持にも役立っていると感じています。
当院では複数の医師がAIを使っていますが、AIがあって助かったという声もあれば、誤検出に対して、「まだ人間の英知には敵いませんね」というコメントもありました。ただ、そんな中でもAIを使っていくと、ここはAIが反応しそうだという具合に意識するようになって、結果として「観察が丁寧になったと感じた」という声も聞いています。

今回のディスカッションを通じて、「継続的なAIとの対話によって得られるメリット」「患者さんの反響」「集中力や観察方法への好影響」といった、導入・臨床使用することで初めて実感しうる内視鏡AIの効果を垣間見ることができました。感じ方は施設背景や個人にもよりますが、数字では表しにくいこのような側面について、もし共感されたようであれば、資料請求やWeb面談でお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

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また、セミナーでは、上記のディスカッションに加え、3名の先生方よりgastroAI model-G2導入に至る背景や導入後にもたらした変化等についてご講演いただきました。内視鏡AIのリアルな導入事情について、より理解を深めていただける内容となっておりますので、オンデマンド配信ページより、是非ご視聴ください。

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