Article観察・診断胃隆起性病変の内視鏡所見と鑑別のコツ、症例と共に解説2022/12/07

胃隆起性病変の内視鏡所見と鑑別のコツ、症例と共に解説

「”一発診断”になりがちな胃隆起性病変ですが、できるだけ論理的に診断することが重要です」。

2022年8月2日に開催されたセミナー”胃隆起性病変の内視鏡所見と鑑別診断のコツ〜早期胃癌から良性疾患まで〜”における、長浜隆司先生(新東京病院消化器内科主任部長 兼 内視鏡センター長)の発言です。

この記事では、長浜先生のセミナー動画を閲覧できます(ページ下部のフォームよりご登録ください)。

胃内視鏡検査を行っていると、様々な隆起性病変を目にすることがあります。明らかな胃がんやびらん性胃炎等は診断が容易ですが、時には診断が難しい病変も存在します。

長浜先生は講演において、直感的な診断が時には重大な診断ミスにつながる可能性を示唆すると共に、論理的に診断することの重要性とノウハウを説明。さらに様々な胃隆起性病変の症例画像を用いて、各病変を診断する実践的なコツについて解説しました。

鑑別で重要な病変分類、一般的な分け方では不十分

「胃癌取り扱い規約」(日本胃癌学会編)によると、上部消化管内視鏡検査で発見される胃隆起性病変は、上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍の2つに分類されます。

しかし隆起性病変の鑑別を直感的ではなく論理的に実施するには、この2分類だけでは不十分だと、長浜先生は言います。厳密には上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍に該当しない病変が、複数存在するからです。

長浜先生はこの問題点を指摘する上で、まず上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍の基本的な特徴を説明しました。

病変を鑑別する際に、上皮性腫瘍であれば腫瘍性・非腫瘍性か、非上皮性腫瘍(粘膜下腫瘍)であれば良性・悪性かを判断します。

上皮性腫瘍では下図のように、”立ち上がり”と”病変粘膜の性状”が一致しています。また粘膜上皮に異常をきたしているため、隆起の粘膜模様が周囲粘膜と異なります。

一方で非上皮性腫瘍は、粘膜面の変化は乏しく隆起の立ち上がりがなだらか。周囲の粘膜と同等の非腫瘍粘膜によって、腫瘍性病変が覆われています。

しかし、上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍の2種類では分類しづらい病変も存在するといいます。例えば、カルチノイド腫瘍は粘膜固有層深層から発生し、増殖の主体は粘膜下層以下になります。「隆起が非腫瘍性粘膜で覆われているものの、立ち上がりは比較的急峻」という上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍の両方の特性を持ち合わせているのです。

胃隆起性病変をロジカルに鑑別、3つ目の分類を考慮で

このように上皮性・非上皮性腫瘍という2つの分類では、病変の厳密な分類が難しいため、これらの中間の分類である”上皮下腫瘍”が必要になるといいます。

3つを見分けるポイントは、立ち上がりの性状や隆起の形態が、病変の首座によって異なるという点です。

上皮下腫瘍の場合、立ち上がりは上皮性腫瘍と同様に境界明瞭ですが、隆起部分は非腫瘍性粘膜で覆われているため、粘膜変化が乏しいのが特徴です。「立ち上がりの性状」「隆起部の粘膜変化の有無」といった形態に着目することで、その病変の首座を予測しながら診断することが非常に重要になります。

胃隆起性病変、首座による分類方法

悪性の病変については、腺窩上皮・粘膜層から発生する病変としては癌と腺腫がありますが、厳密には分化型が腺底部、未分化型が腺頸部より発生します。MALTリンパ腫、胃神経内分泌腫瘍(NET)、神経内分泌細胞癌(NEC)については粘膜固有層もしくは粘膜下層から発生。リンパ腫も筋板を挟んだ筋紡から発生します。固有筋層から発生する病変としては、非常に発生頻度が多い消化管間質腫瘍(GIST)が代表格として挙げられます。

良性の病変には様々な種類がありますが、代表的なものとしては粘膜が変化して発生する、胃底腺ポリープや過形成性ポリープがあります。また、粘膜固有層あるいは粘膜下層から発生する病変には、炎症性類線維ポリープ(IFP)や異所性の胃腺・異所性膵、Gastric Inverted Polyp(GIP / HIP)があります。固有筋層から発生する病変には、リンパ管腫や平滑筋腫、神経性腫瘍、脂肪腫、GIST等があります。

長浜先生は、「病変がどこから発生するか、病変の首座はどこにあるかを十分に頭に入れた上で、隆起性病変を診断する必要がある」と、首座を予測することの重要性を強調します。

様々な胃隆起性病変の内視鏡所見を動画で解説

本記事で解説した鑑別ノウハウについて、長浜先生が実際の症例ベースで解説する動画を閲覧できます。実臨床で注意が必要なポイントなど、明日からの胃内視鏡診療にお役立ていただけます。

今回のウェビナーで解説された病変の一例です。

  • 幽門腺腺腫(胃型腺腫)
  • ラズベリー型腺窩上皮型胃癌
  • 胃底腺型胃癌
  • 胃底腺ポリープ
  • 過形成性ポリープ
  • 異所性膵
  • 炎症性類線維ポリープ(IFP)
  • リンパ管腫
  • MALTリンパ腫
  • カルチノイド
  • Gastric Inverted Polyp
  • 消化管間質腫瘍(GIST)

以下のフォームにご登録いただくと、本セミナーの動画を閲覧できるリンクをメールで送付いたします(医師限定)。